不妊治療の記事について
本ブログの記事は私の経験談です。医学的な記載については専門家ではございませんので必ず医師等にご確認ください。
不妊治療の渦中にある皆様に少しでも役に立てばと思って記載しております。
《 BEFORE STORY 》
手術の当日、別れの日
「搔爬法」と「吸引法」
流産の手術は「搔爬法」と「吸引法」がある。
「搔爬法」は旧来からある手術法で、子宮口を開いた上で、金属の器具で胎児や胎盤を取っていく。直接手で触れるので子宮の状況を確認しやすいが、手術時間が長くなったり出血が多めになる。母体を傷つけてしまうこともあるらしい。
一方、「吸引法」は柔らかい吸引具を子宮に挿入して胎盤や胎児を吸引して出す。こちらは手術時間が短く、出血が比較的少ない。母体を傷つける可能性も減るらしい。2018年から保険適用となった日本では新しい手法だが、「MVA法(手動真空吸引法)」はWHOにも推奨されており、世界的にはこちらがメジャーらしい。
新しいので施術が受けられる病院が少なくのがデメリットだ。
私は不妊治療のクリニックで勧められた「吸引法」が受けられる産婦人科で手術をした。
手術当日の流れ
手術のスケジュールはこんな感じ。
9時 病院到着・エコー等診察
9時半 点滴開始
12時 手術室移動・麻酔投与・手術(たぶん10分くらい)
14時 一回覚醒、すぐまた寝る
15時半 覚醒・ジュースを飲む
16時 診察して終了
実際の手術は10分とかなり短い。でも全身麻酔もあり長時間かかる。
全身麻酔という新感覚
朝は夫さんが一緒に来てくれた。いつものエコー検査、先生の診察を経て点滴開始。ここで夫さんは帰宅。
午前中は点滴してるだけなので暇かと思うとすごい眠気に襲われ殆ど寝ていた。
ちなみにこの手術前の点滴は薬ではなく、前日の夜から飲み食いしてないため水分を補給しているだけらしい。
起きると点滴のままトイレに行ってすぐに手術の時間が来た。
手術室へ移動すると急に緊張してきた、と思ったら点滴の周りがすごい痛みが。点滴を通して麻酔の準備剤を入れたらしく、血管痛が走ったらしい。
この薬で少しふわふわしながら、何も予告がなかったので一気に怖さがMAXに。
と焦って聞くとやはりまた血管痛があるらしく、さらに喉が痛くなって、その後は看護婦さんと数字を数えながら意識が飛ぶらしい。痛いのか…と思いながら麻酔を入れられ血管も喉もやっぱり痛かった。
数字を数えている間に子宮の辺りがジンジンして来た。
えっ麻酔効いてない⁈と焦るもそれ以上痛くなることはなく、目を開けると目の前の時計が14時を指していた。
手術が終わっていたのだ。
「しー」と「ごー」の間あたりで手術があったのだろう。私の脳は意識が途切れてタイムスリップしていた。
寝るのとは全然違うこの感覚、本当に時間が経った気がしないのが新感覚だった。
頭の中で驚きながらも子宮のジンジンがきつく、看護婦さんに話すとすぐに痛み止めを投与してくれた。
それからはまた寝て麻酔が切れてすっかり覚醒したのは15時半頃だった。
朝から何も口にしてないので糖分補給にジュースを飲む。
先生の診察を受けて帰りだった。
ちなみに手術代(薬代込)は保険適用で2万円弱。不妊治療をしてるとこれがすごく安く感じるのが恐ろしい。
帰りはフラつきがあるため迎えが必要となる。父親の車で帰宅した。
お別れした身体とお腹の変化
手術の前後寝てばかりいたがなぜかすごくいい夢を見ていた。普段そんなにいい夢を見た覚えがないが、とても希望があって楽しい夢だった。(中身は覚えていない)
手術後の体はとても軽く、お腹は手術の前と全く違ったスッキリとした感覚があった。
妊娠してから飲む気がしなかったお酒も飲めそうな気がした。すごく気持ち悪い感覚はなかったのでつわりがなくなったと思っていたが、お腹に入っているだけで私の体は大きな影響を受けていたらしい。
不謹慎だがこの身体の軽さだけは少し嬉しかった。と同時に、「日常に戻ったんだな〜。」と実感していた。
流産手術後の痛みは軽い陣痛?
手術3日目から来たキューとチクチク
流産手術から1週間が経とうとしている朝。お腹の左側が頻繁にキューと痛い。
手術の後、久しぶりの軽い身体で全く痛くもなく「体がこんなに楽で、痛くもなくて手術で良かった♪」と思っていたのも束の間、3日後から始まったこの腹痛はなかなかきつい。朝から隣で寝るわんこに向かって痛い、痛いとつい口に出る。折角の休日、外に気晴らしに行きたいのになぁ。
流産した子宮は一生懸命収縮する
流産の手術をした後、子宮は妊娠が終わったことを認識して一生懸命元に戻ろうとするらしい。子宮収縮と残った内容物の排出をおこなっていく。
ごく普通のことだしむしろ順調なんだけどこれは結構痛い…
ロキソニンを1日3回飲んでも感じる痛み、これ以上特に打つ手はなく我慢のあるのみ。
子宮が元通りになってようやくリセット
妊娠8週目で私の赤ちゃんは息絶えた。3月に採卵してから4回目の受精、そう考えたらこの子は10ヶ月近くこの世にいたのか。お医者さん曰く初期流産の60〜70%は染色体異常、仕方なかったと思いつつもこのまま生きてたらなと時々思ってしまう。
妊婦になれた2ヶ月間
この妊娠の唯一の後悔
「初期流産は染色体異常が多くお母さんはどうしようも無い」というのが一般的。そう、どうしようも無い。
どうしようも無いけど一つだけ後悔していることは「この子に期待してあげられなかったこと」
不妊治療で何度も失敗して「期待するとダメージを受ける」っていつの間にか自分を守るようになっていた。
今回だってそう、やっと心拍が見えたのに駄目になるのが怖くってワクワクしてあげなかった。
今度妊娠したら「たまごクラブ」を読もう
切迫流産で安静にしてる時、もうすぐ出産する友達から「いいことをイメージするといいらしいよ」と言われて「何気楽なこと言ってるんだか」と思った。
実家の母親から出産準備の本を買って帰ろうかと言われてまだ読みたく無いと断った。
スピリチュアルだけど、もしかしたらだから逃げちゃったの?って思う今日この頃。
どうしようも無さすぎて、何かのせいにしたいだけなのかもしれないけど、次に来る子はもっと歓迎してあげたいと思う。
《 NEXT STORY 》
作成中…